システム開発を、小さな会社に頼んでも大丈夫か
発注先を選ぶとき、会社の規模で迷うことがあると思います。小さい会社は安いけれど、続くのか。大きい会社は安心だけれど、高そうだし相手にされるのか。
私たちは5人の会社なので、この不安は当然だと思っています。そのうえで、何を確認すれば判断できるのかを書きます。自社に不利なことも含めて書くので、そのつもりで読んでください。
規模より、誰が担当するか
まず前提として、会社の規模と、あなたの案件を担当する人数は別の話です。
大きな会社に頼んでも、実際に手を動かすのは数人です。50人の会社だから50人で作るわけではありません。**判断すべきなのは「会社が何人か」ではなく「誰が担当するか」**です。
もうひとつ知っておいたほうがいいのは、開発が別の会社に回ることがあるということです。契約した会社が、実際の作業を協力会社に出す形です。これ自体は普通のことで、悪いわけではありません。ただ、誰が作っているのかは把握しておいたほうがいいです。伝言が増えるぶん、認識のずれも起きやすくなります。
確認したい5つのこと
規模に関係なく、この5つを聞けば判断できます。
担当するのは誰で、その人と直接話せるか
打ち合わせに出てくる人と、実際に作る人が同じかどうか。間に人が入るほど、要望は薄まって伝わります。 直接話せる体制かどうかは、規模より効きます。
その人が抜けたら、どうなるか
これは小さい会社ほど聞かれるべき質問です。正直に答えると、人が抜ければ影響は出ます。 大事なのは「影響が出ない」と言い切ることではなく、影響を小さくする備えがあるかです。次の3つが、その備えにあたります。
ソースコードは開示されるか
納品物にソースコードが含まれるかどうか。開示されない場合、その会社以外は誰も手を入れられません。 何かあったときに引き継ぐことができなくなります。ここは契約前に必ず確認してください。
設計資料は残るか
画面の仕様、データの構造、環境の設定値。これらが残っていれば、別の会社でも引き継げます。 残っていなければ、引き継ぐ側は動いているものを解析するところから始めることになり、費用も時間もかかります。
他社に引き継げる形になっているか
特殊な仕組みや、その会社しか扱えない技術で作られていないか。囲い込むために、あえて引き継ぎにくく作ることもできてしまいます。
会社が続くかどうかは、誰にも保証できません
正直に書きます。「うちは大丈夫です」と言える会社はありません。 大きな会社でも事業を撤退することはありますし、担当者は辞めます。
なので、確認すべきなのは**「その会社が続くか」ではなく「続かなかったときに困らないか」**です。
ソースコードがあり、設計資料が残っていて、特殊な作りになっていない。この3つが揃っていれば、最悪その会社が無くなっても、別の会社に引き継げます。 逆にこれが揃っていなければ、相手が大企業でも身動きが取れません。
規模で安心を買うのではなく、引き継げる状態を確保する。 これが現実的な備えだと思います。
このあたりは納品後の運用についての記事でも書いています。
小さい会社の、いいところ
公平に、両側を書きます。
決めるのが早い
確認や承認の手順が少ないぶん、返事も対応も早くなります。「持ち帰って検討します」が減ります。
担当が変わりにくい
組織が小さいと異動がありません。最初から最後まで同じ人が見ます。 途中で担当が変わって説明をやり直す、ということが起きにくいです。
小さい案件も受けられる
大きな会社には、受注できる金額の下限があることがあります。小規模から始めたい場合は、小さい会社のほうが話が早いことが多いです。
作った人と直接話せる
仕様の確認も、あとからの相談も、間に人が入りません。
小さい会社の、弱いところ
同時に対応できる件数に限りがあります。 大きな案件が重なると、着手が遅れることがあります。いま何件抱えているか、いつから着手できるかは、聞いていい質問です。
24時間365日の対応体制が必要な場合は、人数が要ります。夜間や休日の障害対応まで含めるなら、体制について具体的に確認してください。
社内規定で取引先の条件が決まっている場合もあります。従業員数や資本金、認証の取得状況など。この場合は規模の話になるので、先に確認しておいたほうがお互いに無駄がありません。
それでも迷ったら
最初の相談での話しやすさで判断していいと思います。
こちらの業務を理解しようとするか。分からないことを分からないと言うか。要望をそのまま受けるのではなく、必要かどうかを一緒に考えるか。
業務システムは、作って終わりではなく何年も付き合うものです。 話が通じる相手かどうかは、規模や価格と同じくらい重要な判断材料になります。
私たちは5人の会社です。大きな体制が必要な案件には向きません。 そのかわり、聞いたことに直接答えますし、作った本人が最後まで対応します。
ソースコードも設計資料もお渡しします。他社に引き継ぎたくなったときに、困らない形でお渡しします。