紙とExcelのままでいい業務、システムにしたほうがいい業務
「そろそろシステムを入れたほうがいいのでは」と考えたとき、最初に決めるべきなのはどこまでをシステムにするかです。
全部を置き換える必要はありません。Excelのままのほうが速い業務は、実際にあります。 何でもシステムにすればいいというものではないので、その線引きから考えます。
Excelのままでいい業務
次のような業務は、無理に置き換えないほうがいいことが多いです。
使う人が1人か2人
自分だけが見るファイルなら、Excelが最も速い道具です。システムにすると、かえって手順が増えます。
やり方が固まっていない
まだ試行錯誤している業務は、Excelのほうが自由に変えられます。システムは形を決めてから作るものなので、形が変わり続けるうちは向いていません。
頻度が低い
月に1回、年に数回しか発生しない作業のために作っても、費用を回収できません。
Excelの中で完結している
入力したデータを別のどこかに転記していないのであれば、いまのままで問題ありません。
システムにしたほうがいい業務
一方で、次のどれかに当てはまる場合は、置き換える価値があります。
同じ情報を2箇所以上に入力している
Excelに入れた内容を、別の台帳や請求書に打ち直している。この「転記」は、時間がかかるうえに必ず間違いが起きます。システム化でいちばん効果が出るのがここです。
複数人が同じファイルを触る
ファイルが開けない、上書きされた、`〜最新版_修正2.xlsx` が増えていく。これはExcelの限界を超えているサインです。
誰がいつ変更したか分からないと困る
金額や契約に関わる情報は、履歴が残らないと後で困ります。Excelでは残せません。
件数が増え続けている
行が数千を超えたあたりから、動作が重くなり、検索も面倒になります。今後も増える見込みなら、早めに移したほうが傷が浅いです。
人によってやり方が違う
同じ業務なのに、担当者ごとに手順もファイルの形も違う。この状態は、その人が休んだ日に止まります。
集計に時間がかかっている
月末に何人かがかりで数日、というような集計作業。これは自動化しやすい部類です。
判断の順番
迷ったときは、この順で考えると整理しやすいです。
1. 転記が発生しているか — していれば優先度が高い
2. 複数人が関わるか — 関わるなら次点
3. 記録を残す必要があるか — 必要なら検討
4. どれにも当てはまらない — いまのままで問題ありません
1つ目に当てはまる業務から手をつけるのが、いちばん効果が分かりやすいです。
全部を一度にやらないほうがいい理由
一括で置き換えると、費用が大きくなるだけでなく、現場が一度に変わることになります。慣れるまでの期間、かえって業務が遅くなることがあります。
そうならないよう、いちばん困っている業務をひとつ選んで、そこだけ小さく始める。うまく回ったら次に広げる。この進め方であれば、費用も分割できますし、途中でやめる判断もできます。
Excelと併用したままで構いません。 システムに移した部分と、Excelのままの部分が混在していても、問題なく運用できます。
よくある誤解
「Excelを使っているのは遅れている」ということはありません。
Excelは非常によくできた道具で、小規模な業務ではシステムより速く、安く済みます。問題なのはExcelを使っていることではなく、Excelでは無理がある業務まで、Excelで回していることです。
その境目がどこにあるかは、業務によって違います。判断がつかない場合は、いま使っているファイルを見せていただければ、こちらで整理してお伝えできます。
まとめ
- 1〜2人で完結していて、転記がないなら、そのままで問題ありません
- 転記・共有・履歴のどれかで困っているなら、置き換える価値があります
- 全部を一度にやる必要はありません
- Excelとの併用でも運用できます
「どこから手をつければいいか分からない」という段階でのご相談も承っています。まずは現状を整理するところからお手伝いします。